技術士論文が評価されない本当の理由|ロジカルに書いている“つもり”が危険なワケ
はじめに
技術士試験の論文対策をしていると、次のような声をよく耳にします。
- 「ロジカルに書いたつもりなのに点が伸びない」
- 「知識はあるはずなのに評価されない」
- 「何がダメなのか分からない」
実はこれ、珍しい話ではありません。
そして原因の多くは、知識不足ではなく「ロジカルに書いている“つもり”になっていること」にあります。
本記事では、
技術士論文において評価されない典型的なロジックの問題点と、
評価される論文に変えるための考え方を解説します。
技術士論文で求められる「ロジカル」とは何か
まず押さえておきたいのは、技術士論文における「ロジカル」とは、
難しい理論を展開することではありません。
技術士試験で評価されるロジカルさとは、
結論・理由・根拠が一貫した筋道で説明されていること
です。
採点者は、
「この受験者が、技術者として妥当な判断をしているか」
「その判断を他者に説明できているか」
を見ています。
「ロジカルに書いているつもり」で評価されない3つの理由
① 結論が最後に出てくる
評価されない論文で最も多いのが、このパターンです。
<悪い例>
課題背景を説明し、問題点を述べ、最後に結論が書かれている
一見丁寧ですが、技術士論文では逆効果です。
<評価される書き方>
最初に結論を書き、その後で理由と根拠を説明する
技術士は「判断できる技術者」です。
結論を先に示すこと=判断力の表現になります。
② 理由が思いつきの羅列になっている
次に多いのが、理由が整理されていないケースです。
<よくある例>
- コスト削減ができる
- 作業者の負担が減る
- 教育が重要である
これでは、
- 分類軸が不明
- ダブりや漏れがある
- 採点者が考えを追えない
という状態になります。
<改善のポイント>
MECE(漏れなく・ダブりなく)で理由を整理することです。
例
理由は以下の3点である。
① 品質面:ばらつき低減による安定化
② コスト面:手戻り削減による原価低減
③ 人材面:属人化排除による技能依存低下
これだけで、論文の「技術者らしさ」は一気に上がります。
③ 理由と根拠が混ざっている
「なぜそう言えるのか?」に答えられていない論文も多く見られます。
<悪い例>
AI導入により品質向上が可能である。
これは理由でも根拠でもなく、ただの主張です。
<ロジカルな書き方>
- 理由:なぜ有効か
- 根拠:それを支える事実
例
AI導入による品質向上が可能である。
理由は、①人的ばらつきの低減、②異常検知の早期化である。
実際に画像検査工程では、検出率向上と過検出低減が確認されている。
この「一段掘り下げる」意識が評価を分けます。
技術士論文でロジカルに書くための基本型
迷ったら、次の型に当てはめてください。
① 結論(判断・方針)
② 理由(MECEで2~3点)
③ 根拠(技術的背景・事例)
④ 留意点・トレードオフ
特に留意点や制約条件を書くことで、
「単なる理想論ではない」と示すことができます。
これは総合技術監理部門では特に重要です。
ロジカルとは「頭が良い」ことではない
ロジカルシンキングは、
特別な才能でも、IQの高さでもありません。
- 結論を先に書く
- 理由を整理する
- 根拠で支える
この型を守るだけで、論文の評価は確実に変わります。
おわりに
技術士論文で評価されない多くの答案は、
「考えていない」のではなく
「考えを構造で示せていない」
だけです。
ロジカルシンキングとは、
技術者としての思考過程を、相手に分かる形で示す技術です。
知識がある方ほど、
「書き方」を変えるだけで評価が伸びます。

