AI時代における技術士総監の役割とは?現場で感じる課題と本質的な活用の考え方
近年、AI(人工知能)は急速に進化し、製造業をはじめとするあらゆる分野において活用が進んでいます。
一方で、現場では「AIを導入すれば何でも解決する」という誤解や、「本当に効果が出るのか分からない」といった課題も多く見受けられます。
本記事では、技術士(総合技術監理部門)の視点から、AI活用における本質的な考え方と現場で感じる課題について整理します。
①AI導入が進まない本当の理由
AI導入がうまくいかない理由は、技術の問題よりも「管理」の問題であることが多いと感じています。
技術士総監の5つの管理(品質・コスト・納期・リスク・人的資源)の観点で見ると、以下の課題が顕在化します。
- 品質管理:AIの判断結果の信頼性が担保されていない
- コスト管理:導入コストに対して効果が見えにくい
- 納期管理:現場への定着に時間がかかる
- リスク管理:ブラックボックス化による判断責任の所在不明
- 人的資源管理:AIを使いこなせる人材不足
👉つまり、AIはあくまでツールであり、管理技術が伴わなければ成果は出ないということです。
②製造現場でのAI活用の現実
製造現場では、特に以下のような用途でAI活用が期待されています。
- 外観検査の自動化
- 異常検知(予知保全)
- 成形条件の最適化
しかし実際には、
- データの質が低い
- 学習データが不足している
- 現場条件が変動する
といった理由で、机上通りにいかないケースが多いのが実態です。
技術士の視点で重要なのは、
「AIを使うこと」ではなく「問題解決できるかどうか」です。
③技術士総監としてのAIとの向き合い方
総監として重要なのは、AIを以下のように位置づけることです。
■ AIは万能ではない
AIは過去データを基にした「最適化ツール」であり、未知の問題には弱い。
■ 人とAIの役割分担が重要
- AI:パターン認識・大量処理
- 人間:判断・責任・改善
■ トレードオフの管理が本質
例えば、
- 精度を上げる → コスト増大
- 自動化を進める → 柔軟性低下
このバランスを取るのが総監の本質的な役割です。
④今後の技術士に求められる力
AI時代において、技術士に求められる能力は変化しています。
特に重要なのは以下の3点です。
1) 問題設定力
「AIで何を解決するのか」を定義できる力
2) システム思考
部分最適ではなく全体最適で判断する力
3) リスクマネジメント
AI導入による新たなリスクを見抜く能力
まとめ
AIは今後ますます普及していきますが、
真に価値を生むかどうかは、「技術」ではなく「マネジメント」にかかっています。
技術士総監としては、
- AIを過信しない
- 現場を重視する
- トレードオフを適切に管理する
といった視点を持つことが重要です。
AI時代だからこそ、総合技術監理の価値はより高まると感じています。

