日本企業は中国に勝ち続けられるのか?技術士が読み解く「すり合わせ」と量産技術の本当の強み
日本企業は中国に勝ち続けられるのか?技術士の視点で感じたこと
週刊東洋経済の特集「日本企業の勝ち筋」は、
半導体、FA(ファクトリーオートメーション)、EV、ロボットといった分野で
中国勢が急速に技術力を高める中、日本企業はどこで戦えるのかを描いています。
技術士としてこの記事を読んで強く感じたのは、
「日本の強みは“最先端技術”そのものではなく、“量産を成立させる技術”にある」
という点です。
最先端装置よりも難しい「安定して作り続けること」
記事では、中国がEUV露光装置の試作に成功したという衝撃的な話題が出てきます。
確かに、EUV露光装置は半導体技術の象徴であり、完成すれば技術的インパクトは大きい。
しかし、技術者の目線で見ると重要なのはその先です。
- 不良が出たときに原因を切り分けられるか
- 工程条件を変えずに再現性を保てるか
- 数百工程を通じて歩留まりを維持できるか
これらは、単一の装置や技術だけでは実現できません。
日本企業が強い理由①:すり合わせ型の技術エコシステム
半導体分野で日本企業が圧倒的な存在感を示しているのが、
- フォトレジスト
- 検査装置
- 精密部品(マスフローコントローラ、静電チャックなど)
です。
特に印象的なのが、
レジストメーカー・原材料メーカー・装置メーカー・半導体メーカーが長年築いてきた「すり合わせ」。
これは図面や仕様書だけでは真似できません。
現場でのトライ&エラー、暗黙知の蓄積、担当者同士の信頼関係があってこそ成立します。
技術士試験でよく問われる
「技術はシステムであり、単体では価値を生まない」
という考え方を、そのまま実証している事例だと感じました。
日本企業が強い理由②:「POR(実績)」という見えない参入障壁
記事中で触れられている POR(Process of Record) も重要なポイントです。
量産の実績があるプロセスは、
- 装置
- 材料
- 条件
がセットで“正解”として記録されています。
新規参入者が別の装置や材料に置き換えようとすると、
一から全工程を検証し直す必要がある。
これはコスト・時間・リスクの面で非常に重い。
技術士の視点では、
「実績=最大の技術資産」
という好例だと言えます。
FA・工作機械・EVに共通する「技術だけでは勝てない現実」
一方で、FAやEVの分野では、中国勢が
- 低価格
- 驚異的な開発スピード
- 現地ニーズへの適応力
で、日本企業を凌駕しつつあることも描かれています。
ここで示されているのは、
技術的に優れていても、
市場・スピード・コストを無視すれば勝てない
という、技術士として耳の痛い現実です。
技術士として感じた最大の教訓
この記事全体を読んで感じた最大の学びは、
「日本の勝ち筋は、尖った技術 × 現地化 × 量産を支える地道な技術」
この三つが揃ったときに初めて成立する、ということです。
- 先端装置だけでは足りない
- ソフトや知能だけでも足りない
- 現場を知らない技術は機能しない
これは、総合技術監理部門で問われる
技術・経営・人・組織・社会との関係
そのものだと感じました。
おわりに:これは試験対策そのものの題材
この「日本企業の勝ち筋」は、
- 技術戦略
- 国際競争力
- 技術の社会実装
- 長期視点でのリスクと価値
といったテーマが凝縮されており、
技術士二次試験(特に総監)との親和性が非常に高い記事です。
単なる経済記事としてではなく、
「なぜこの技術が強みになるのか?」
「なぜ簡単には真似できないのか?」
という問いを持って読むと、学びが一気に深まります。

